スキマスイッチ新曲”OverDriver”初聴き感想
新作アルバムが出ると聞いたときはものすごく驚きましたよ、ええ。
前作『新空間アルゴリズム』は”リアライズ”を除き、タイアップで固められたアルバムでした。そのため、私の中では
「えーと、今出てるのは”青春”に”東京”に、あと”吠えろ”と”あけたら”とか……”茜”は一応入るのかなぁ」
……という状態で、曲をあまり発表していない現状でアルバムが出るとは全く予想できていませんでした。
そ・れ・が、一気に大量の新曲をひっさげた二枚のアルバムの登場ですよ! もう久々にスキマスイッチ熱が押し寄せてきてます。(その結果、この使っていなかったアカウントに勢いで記事を投下する運びとなりました)
……前置きはここまでとして、以下新曲を聴いて感じたことや考察等を書き連ねていきます。
目次
1.トップバッターとしての存在感
新曲”OverDriver”はアルバム『Hot Milk』の一番最初の曲として収録されています。
スキマスイッチというユニットはこの「アルバムの一番最初の曲」にこだわりを持っており、過去の”螺旋”・”君に告げる”・”藍”・”双星プロローグ”・”時間の止め方”・”ゲノム”・”リチェルカ”はいずれも良曲ぞろい。”リチェルカ”以外はそれぞれのアルバムが初収録となっており、そのアルバムを象徴するような楽曲となっています。
今回の”OverDriver”もまた、まるで「ホットミルクを飲んだ」ように、聴いていると心がじんわりと温まっていくような曲調。まさに『Hot Milk』を象徴していますね。
歌詞の言い回しは『ナユタとフカシギ』以降のくだけた雰囲気で、歌詞の意味だけでなくリズムを重視しているように感じましたね。
2.歌詞
それでは、歌詞の内容について一部引用をしつつ見て行こうと思います。
内容を私なりに要約すると、「ある程度年齢を重ねた平凡な主人公が再び立ち上がる」というもの。この点は”ミスターカイト”と近いものがありますね。また、刺激的な言葉を使って自分に喝を入れている様子は”ゲノム”とも被ります。
曲全体の雰囲気としてはこの二曲の中間のように感じます。加えて、一番のサビ「後ろの正面」・「鬼」は民謡”かごめかごめ”をもじっているようですね。
そして、歌詞を読んでいくとすぐに気づくのが、過去の曲を意識したようなフレーズがたびたび登場すること。
- 漲っていた時代のユメがなんか言う(ソングライヤー)
- 躓いて置いてかれた場所で(全力少年)
- 翼のない鳥は飛べないまま(雫)
- 飛べ 高く 高く 高く(言い回しが”ゲノム”に近い気がする)
該当部分はこの辺り。特に中二つはYoutubeのコメントでもよく見かけました。
さて、注目したいのが冒頭部の「零れ落ちた~持っていけ」という部分。ラスサビの最後でも再登場することから特に強調されているフレーズですが、これ”全力少年”をかなり意識していませんか?
ご存じのように”全力少年”は「積み上げたものをぶっ壊す」、つまりこれまでの自分をリセットして先に進もう、というメッセージの楽曲です。
ところが、年齢を重ねていくと(私はまだ若いのでこんなこと言うのも変ですが)これが実際はなかなかできないということに気づきます。そもそも「よろめきながら進む」ことすらできない主人公は、自分の夢や理想の姿からは完全に置いてかれてしまっているのです。
ー結局自分は平凡だったんだー
「狭い世界(≒汚れちまった僕のセカイ)」の中で主人公はそう呟きます。もうこの後は流れに身を任せるだけだと諦めて、そこに座り込んでしまっているのです。
だけど、スキマスイッチはそれでも立ち上がろうと言います。
ーこれまでの自分をすべて捨て去ることは難しい、だから「ヤワなジブン」も抱えたまま少しずつ(=ホップステップの要領で)進んでいこう!ーと
”全力少年”が雄たけびを上げているマッチョでエネルギッシュな若者の曲なら、この”OverDriver”は疲れ切った人の背中を優しく押してあげるような、そんな曲だと思いました。
3.ミスチルとスキマ
この曲を聴いたとき、最初に頭に浮かんだのは「あ、ミスチルの”Brand new planet”に近いな」という感想でした。※パクリってことではないです!
私はこの”Brand new planet”という曲は「年を重ねたミスチルの”星になれたら”」だと考えています。”星になれたら”も”全力少年”も、どこか希望にあふれた若者のキラキラした雰囲気を纏っていますよね。
それに対し年を重ねた彼らの二曲は「ついつい終わりを意識しちゃうけど、それでも生きている限りチャレンジし続けて行こう!」というメッセージを含んでいるように感じます。どこかファンに寄り添った楽曲づくり、それが彼らが支持され続ける理由なんだな、と改めて感じました。
以上です、ここまでお読みいただきありがとうございました。